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DAO法の基本と法整備・改正の動き

DAO(分散型自律組織)は、ブロックチェーン技術によって生まれた新しい組織モデルとして、世界中で注目を集めています。日本でもその活用が進む一方で、現行の法律制度では対応が難しい課題が浮き彫りとなってきました。誰が責任を負うのか、トークンによるガバナンスや収益はどのように扱われるのか――こうした問いに答えるため、国内では「DAO法」の整備に向けた議論が進行しています。

本記事では、DAOを取り巻く法的枠組みの現状や課題、2024年以降の法改正の動き、そして海外の先行事例との比較を通じて、DAOを企業や組織で活用するために必要な視点をわかりやすく解説します。今後のビジネス展開や技術導入を見据え、法制度との向き合い方を考えるための参考にしてください。

そもそもDAO法とは? 基礎から押さえよう

DAOの定義と特徴

DAO(Decentralized Autonomous Organization/分散型自律組織)は、ブロックチェーン技術を活用し、スマートコントラクトによって意思決定や運営が行われる新しい形の組織です。中央管理者を持たず、トークンを保有する参加者全員が提案・投票を通じてガバナンスに関与します。

このような仕組みにより、誰でも参加できるオープンな組織運営と、自動化された透明性の高い意思決定が実現可能となります。DAOはDeFi(分散型金融)、NFT、Web3スタートアップなど、さまざまな分野で活用が進んでいます。

一方で、現実世界での契約や納税といった「法人格のない組織」ならではの課題も多く、法整備の必要性が高まっています。

法整備が求められる背景

DAOはその技術的特性ゆえに、従来の会社法や商法が前提としてきた組織構造や責任体制に当てはまりにくいという問題があります。たとえば、誰が代表者なのか、どのように契約を締結するのかといった基本的なルールが曖昧です。

また、DAOではトークンによって報酬を支払ったり、意思決定を行ったりしますが、これらの活動が現行法上どのように課税・規制されるかが明確でない点も大きなリスク要因となります。トークンの性質によっては、金融商品として扱われる可能性もあり、関係法令との整合が求められます。

さらに、スマートコントラクトによる自動執行により、万が一のトラブル時に誰が法的責任を負うかが不明瞭になることも問題視されています。こうした背景から、DAOを正当に社会実装するには、国内外での法整備が不可欠となっています。

日本のDAO法制化の現状と改正ポイント

国内で議論されている主な論点

日本国内でも、DAOを取り巻く法制度の必要性が高まりつつあります。現在、複数の省庁や業界団体が、DAOの法的位置づけに関する検討を進めています。その中でも注目されているのが、以下のような論点です。

第一に、DAOの意思決定に関する「責任の所在」や「ガバナンス体制の明確化」です。スマートコントラクトに基づいた分散型ガバナンスでは、誰が法的責任を負うのかを明確にすることが困難な場合があります。こうした状況下では、事故・紛争時の法的保護が不十分になるリスクがあります。

第二に、コンプライアンスやKYC(本人確認)の義務化、AML(マネーロンダリング対策)への対応が求められています。DAOが匿名性を保ったまま資金移動を行うことへの懸念から、金融取引法や犯罪収益移転防止法との接点が議論されています。

第三に、トークンの配布や売買による収益の課税ルールの不明瞭さも問題視されています。DAOが発行するトークンが資金調達手段として機能する場合、どの時点で、誰に、どのような税が課されるのかを明示する必要があります。

2024年以降に予想される法改正の方向性

2024年は、日本におけるDAO関連法制にとって重要な転換期となる可能性があります。現在の動きから予想される改正ポイントには、金融商品取引法・会社法・民法などの複数の法律との整合性を取る動きが含まれます。

たとえば、DAOを合同会社として登記することを前提に、定款にDAO的なガバナンス条項を盛り込むことを認める方向性が議論されています。また、会社法の中でDAOのような非中央集権的組織を「法人類型の一つ」として明文化する構想も取り上げられています。

また、トークン発行による資金調達の正当性を明確にし、金融商品として規制対象に含めるかどうかも争点の一つです。これに関連して、ICOやIEOなどの手法とDAOの違いをどう整理するかが法的課題となっています。

全体として、日本のDAO法制は「イノベーションの促進」と「利用者保護や責任所在の明確化」という二律背反をどう両立させるかが問われています。2024年の法改正では、このバランスの取り方が重要なテーマとなるでしょう。

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海外事例から見るDAO法の先行モデル

アメリカや欧州のDAO関連法制

DAOに関する法整備は、日本よりも早く進んでいる国や地域がいくつか存在します。中でも象徴的なのが、アメリカ・ワイオミング州による「DAO LLC」制度の導入です。これは、DAOを有限責任会社(LLC)の一形態として法人登記できるようにした世界初の試みです。

DAO LLCでは、スマートコントラクトと定款(Operating Agreement)を法的にリンクさせ、DAOのガバナンスルールが法人法上の規定と整合するよう設計されています。これにより、トークンを用いた意思決定を行いながら、契約や納税といった法人としての責任を果たすことが可能になりました。

また、欧州ではリヒテンシュタインが2020年に「トークン法(TVTG)」を施行し、ブロックチェーンベースの組織やトークンに対する包括的な法的枠組みを整備しています。その他、スイスのツーク州などもDAOやWeb3プロジェクトの受け入れに積極的で、クリプト企業が集まる「クリプトバレー」として知られています。

日本への示唆:類似制度の導入・改良点

これら海外の先行事例は、日本がDAO法を設計するうえで大きな参考になります。特にワイオミング州のDAO LLCモデルは、DAOに法人格を付与しながら、既存のLLC制度の枠内でリスクと責任を管理できる点が実務的に評価されています。

ただし、日本の法制度との整合性を考えると、そのまま輸入することは難しく、日本型DAO法としてローカライズするための工夫が必要です。たとえば、法人登記時にDAO特有の条項を定款に明記することを前提とした「DAO準拠型合同会社」のような新制度の創設が検討に値します。

一方で、規制緩和に偏りすぎると、投資家保護や金融犯罪防止の観点からリスクが高まる懸念もあり、バランスの取れた法整備が求められています。海外事例の「緩やかすぎる規制」「規制の空白」からも学びつつ、日本独自の法整備モデルを構築していくことが今後の課題となるでしょう。

DAO運営における法的リスクと対策

責任の所在・トラブル時の処理

DAOは「自律的に動く組織」であるがゆえに、法的責任の所在が曖昧になりやすい構造を持っています。特に匿名・仮名で参加できる設計では、事故やトラブルが発生した際に、誰が契約責任や損害賠償責任を負うのかが明確でない場合があります。

日本法では、契約の締結主体や損害賠償請求の相手方が明確であることが基本です。そのため、DAOの外部取引や法的トラブルに備えて、DAOの代表機能を担う法人格(例:合同会社)を用意しておくことが推奨されます

また、DAO内での投票や意思決定が不正に操作された場合や、スマートコントラクトの実装ミスが原因で損害が生じた場合、補償や救済をどう行うかという課題もあります。現状では、オフチェーンのコミュニティ規約や調停制度を整備することで、紛争解決の基盤を作っておくことが現実的な対策とされています。

税制面の考え方・申告方法

DAOの運営にトークンが関与する場合、所得税・法人税・消費税などの課税ルールの理解が不可欠です。たとえば、トークン報酬を個人が受け取った場合は、雑所得として課税される可能性があります。一方、DAOを法人化して運営する場合は、法人税の課税対象になります。

また、トークンの発行益(キャピタルゲイン)や、運営への参加による報酬分配の仕組みも、課税タイミングや評価方法によって税額が大きく変わるため、慎重な設計が求められます。

現在の日本の税制では、DAOに特化した明確な規定は存在していませんが、将来的にガイドラインや通達が整備される可能性があるため、税理士や法務の専門家と連携し、柔軟に対応する姿勢が重要です。

DAO法整備に向けた動き

政府や業界団体の取り組み

日本においても、DAOを巡る法整備に関して政府機関や業界団体が本格的な検討を進めています。特に経済産業省は、Web3推進に関する政策パッケージの中でDAOに言及しており、制度的支援の方向性を明らかにしつつあります。

また、金融庁も暗号資産やトークンに関連する規制の整備を進めており、DAOに関連するトークンの法的位置づけやAML対策の強化が議題に挙がっています。これにより、DAOが発行するガバナンストークンが金融商品に該当するか否かの判断基準が整備されることが期待されます。

民間では、日本ブロックチェーン協会(JBA)や一般社団法人日本DAO協会などの業界団体が、DAOの設計や運用に関するガイドラインやモデル規約の策定を進めており、開発者や企業の実務を後押ししています。

今後のスケジュールと注目ポイント

DAOを取り巻く法制度は、今後2024年から2025年にかけて大きく動くと見られています。現時点で注目されているのは、2024年度中に予定されている関連法律の改正と、新たな行政ガイドラインの発表です。

たとえば、金融商品取引法の運用指針見直しや、会社法における非伝統的組織形態(DAO含む)への対応が検討対象とされており、これらが現実の法整備に反映されるかが注目ポイントです。

さらに、地方自治体や研究機関との連携による実証実験も進行中で、DAOを地域通貨・ガバナンスに活用する取り組みがいくつかスタートしています。法改正の進展とともに、これらの事例が制度設計にフィードバックされる流れが形成されつつあります。

DAO法制下での実務ポイント

法人格を持つDAOの設計と運用フロー

法整備が進む中で、DAOを社会的・法的に機能させるためには、法人格を付与したうえでの運営体制の整備が求められます。現在有効な方法としては、DAOを合同会社(LLC)や株式会社として登記し、実社会での契約や納税、口座開設などの実務対応を可能にするモデルが注目されています。

その上で、会社の定款や業務執行ルールの中に、スマートコントラクトによるガバナンスやトークンエコノミーの仕組みを取り入れることで、従来型の組織とDAO的な意思決定構造の融合を図ることができます。

また、トークンの保有比率に応じた議決権の設計や、メンバーの権利・義務に関するオフチェーンでの規約整備も不可欠です。法制度の変更に柔軟に対応できるよう、運用フローは段階的に整備するのが現実的です。

専門家の活用とコンプライアンス強化

DAOの設計・運用には、テクノロジーだけでなく、法律・税務・セキュリティの専門知識が不可欠です。特に、法人設立時の定款作成、トークン発行時の法的チェック、会計処理、税務申告などは、弁護士・税理士との連携が欠かせません。

また、スマートコントラクトは一度デプロイすると変更が困難であるため、事前にコード監査(スマートコントラクト監査)を実施し、バグや不正アクセスへのリスクを最小限に抑えることが重要です。

さらに、DAOの運営に関わる関係者すべてが、法的責任・ガバナンスルール・セキュリティ対策の基本を理解しておくための教育体制の整備も、持続可能なDAO運営には欠かせません。

DAO法の進展がもたらすビジネスチャンスと注意点

DAOは、テクノロジーの進化とともに、新たな組織のかたちとして社会に広がりつつあります。そして今、その可能性を法制度の中でどう実装するかが、日本における大きな課題となっています。

DAO法の整備が進むことで、透明性の高い意思決定、参加型のガバナンス、迅速な運営体制といった利点を、法人格を持つ実社会の組織運営にも応用できるようになります。これは、起業家や技術者にとっては大きなビジネスチャンスとなるでしょう。

一方で、制度化が進むほど、法的責任やコンプライアンスの重要性も高まります。DAOの分散性と自由さを最大限に活かしながらも、社会的な信頼を得るためには、制度に即した設計と透明な運用が欠かせません。

DAO法はまだ発展途上の分野ですが、今後の法改正やガイドライン策定を正しく捉えることで、より実践的で持続可能なDAOの構築が可能になります。柔軟に制度の変化に対応しながら、DAOを自社や事業に取り入れていく視点が、これからの時代に求められています。

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