DAOを活用した自治体の事例

自治体が抱える地域課題に対し、DAO（分散型自律組織）の活用が注目を集めています。本記事では「地域おこし協力隊DAO」と「Amanowa DAO」の2事例を通じ、まちづくりにおけるDAOの特徴や導入の意義を解説します。

自治体が導入するDAOの事例

地域おこし協力隊DAO（自治体主導型コミュニティDAO）

概要

地域おこし協力隊DAOは、従来の地域おこし協力隊制度にDAOを組み合わせた新しい取り組みです。自治体が主導しつつ、地域住民や外部の支援者がオンラインを通じて地域運営に参画できる仕組みが整えられています。北海道余市町や富山県舟橋村では、実際にDAO型のコミュニティを試験的に導入し、地域課題の共有や解決策の提案が進められています。

特徴

このDAOの最大の特徴は、地域外の人々も意思決定に関わり、課題解決に参加できる点です。ブロックチェーンを用いた透明なガバナンスにより、提案や投票の過程が可視化され、参加者の貢献度が正しく評価されます。また、自治体のデジタル化を後押しする役割も果たしており、住民や協力隊員の活動の幅を広げています。ただし、参加者の技術リテラシーや運営コストの確保といった課題も存在します。

Amanowa DAO（海士町・関係人口共創型DAO）

概要

島根県海士町が立ち上げたAmanowa DAOは、地域住民と関係人口が共創する新しい自治体DAOのモデルです。2024年から始動し、「あまのわ」コミュニティをベースに、地域外の人々がデジタル上で参画できる仕組みを整備しました。利用者はオンライン上でクエストに挑戦し、AMAコインを獲得することで活動への関与度を高められる設計が導入されています。

特徴

Amanowa DAOは、ゲーム的な仕組みを通じて参加意欲を高め、持続的に関わる人材を増やすことを目的としています。提案や基金運営といった意思決定に参加できるだけでなく、貢献度に応じて特典が付与される点もユニークです。地域住民と都市部在住者がオンラインでつながり、従来の行政だけでは実現しにくい多様な取り組みを展開可能にしています。今後は運営を段階的に自律化し、DAOメンバーが主導する形へと進化していくことが期待されています。

自治体におけるDAO活用の特徴

地域課題への参画と透明性

DAOを導入することで、地域課題の提案から解決までを住民や外部参加者が共に担えるようになります。意思決定のプロセスがブロックチェーンで記録されるため、透明性が担保され、従来よりも公平な仕組みを構築できる点が大きな特徴です。

関係人口との接点拡大

自治体DAOは、地域外の人材や移住希望者を巻き込む仕組みを提供します。オンラインを介して関わりやすくなることで、地域に対する「応援したい」「関わりたい」という思いを行動へつなげやすくなり、関係人口の拡大が期待されます。

持続的なコミュニティ形成

報酬制度や参加インセンティブを組み込むことで、短期的な関与に終わらず、継続的に参加する人材を確保できます。さらに、自治体や事務局が初期段階を支えながら、徐々にDAOメンバーへ運営を委譲することで、自律型の持続的コミュニティが形成されます。

導入におけるリスクと課題

一方で、DAOを導入するには技術的な知識や運営コストが必要であり、参加者全員がスムーズに利用できる環境整備が欠かせません。さらに、自治体の法制度や予算執行ルールとの整合性をとる必要があり、導入には慎重な準備と検討が求められます。

まとめ

DAOは、自治体にとって住民や地域外の人々を巻き込み、課題解決や新しい価値創出を実現する有力な仕組みといえます。ブロックチェーンを活用した透明性の高い意思決定プロセスにより、公平で開かれたガバナンスを実現できる点は大きな魅力です。また、関係人口を取り込みやすい設計によって地域との関わりが広がり、持続的なコミュニティ形成につながります。一方で、技術的な知識や運営コスト、制度面での調整といった課題は避けられません。しかし、それらを乗り越えることで、自治体DAOは透明性・参加性・持続性を兼ね備えた新しい地域づくりの基盤となる可能性を秘めています。

DAOには分散型自律組織を支えるブロックチェーン技術も欠かせません。企業ごとに得意分野や開発体制が異なるため、パートナーを見極めることが重要です。当サイトでは技術力や実績など多様な強みを持つブロックチェーン開発会社を掲載しておりますので、ぜひご覧ください。